社会福祉法人 愛隣会 白寿荘

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施設長挨拶

白寿荘の成り立ちと基本精神

昭和21年(1946年)1月18日、戦後の混乱のなか、愛隣会は発足しました。
「隣人愛」の理念のもとに、衣食住さえままならない多くの方々を近衛輜重兵連隊の旧兵舎にお受け入れし、社会復帰への基盤となるべくスタートしたのが愛隣会の始まりであります。当初は単身者、家族世帯、孤児、母子、老人、障害者が旧兵舎に雑居し、難民キャンプのような有様だったとのことですが、お年寄りはなかなかゆっくりと過ごすことができなかったようです。共同募金会からの助成や篤志家の寄付金を合わせて、昭和28年6月11日、木造平屋建て100余坪の老人ホームを建設し、「憩いの家」(定員64名)と名付けたのが白寿荘の始まりであります。翌年、「憩いの家」は高齢者の長寿を念願とし、「白寿荘」の名称で正式に認可を受けました。昭和36年5月には増築(定員168名)、昭和51年8月には現在の建物が完成し、現在に至っております。

時代は平成に移り、生活は豊かになってきましたが、格差社会、自己責任社会と言われる現代社会においては、その日陰で生活にお困りになる方がこれからも増えていくことでしょう。白寿荘は、法人創立時の理念「隣人愛」に基づき、環境的、経済的に困っていらっしゃる方の支えになれるよう、力を尽くしてまいります。白寿荘を利用される方の多くは、家族・お金・住宅などに恵まれず、これまでの生活を維持することができなくなったことにより、入所申請に至ります。残念ながら、その時の本心は、「他に選択肢がないのでやむを得ず入所せざるを得ない」という心情に他なりません。できるのであれば、このまま家族と一緒に暮らしたかった、住み慣れた街で、アパートで暮らしたかった、誰にも理解されない障害を分かってもらいたかった、という希望を持ちながらも、それを継続できる現実的な手段がないことから、入所しなければならないのです。この「痛み」にどのように向き合い、この「痛み」が癒えるようにどのように寄り添っていけるか、ということが、白寿荘における「隣人愛」の実践になります。

この痛みを少しでも和らげられるよう、白寿荘は「施設」ではなく、「家庭」を目指します。外出の自由、食事の自由、入浴の自由、日課の自由など、いずれも家庭であれば当たり前に保障されるべきものですので、施設でも家庭と同じように考えていきます。「入りたくて施設に入るわけではない」という後ろ向きの気持ちが、いつか「ここに入れてよかった」という前向きな気持ちに変換できるように。白寿荘が、その人にとって「施設」ではなく、「自分の家」と思ってもらえるように。聖書にある「隣人を愛せよ」という言葉を実践し、その人の痛みに向き合い、また寄り添うことによって、ひとりでも多くの方の笑顔を実現できるように、事業を展開していきます。

最後になりますが、地域にも、お年寄りにも、職員にも、なくてはならない施設と思ってもらえるように努力してまいりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。